在宅型有料老人ホームの「在宅型」とは何で、他形態とどう違うのか?
結論から言うと、「在宅型有料老人ホーム」という呼び方は法律上の正式名称ではありません。
実務・求人広告・不動産業界などで慣用的に使われる呼称で、多くの場合は「住宅型有料老人ホーム(住居型)」を指しています。
なぜ「在宅型」と呼ぶかというと、その仕組みが介護保険制度上「居宅(=在宅)サービス」を個別に契約して使う形だからです。
これが、施設サービスとして包括的に介護を提供する「介護付有料老人ホーム」との最大の違いです。
以下、制度上の位置づけ、他形態との違い、現場での仕事のイメージ、根拠をご説明します。
有料老人ホームの法的な定義と類型
– 有料老人ホームの定義
老人福祉法で「有料老人ホーム」は、高齢者を入居させ、入居の対価を得て、食事の提供、介護、家事、健康管理のいずれか(または複数)を提供する施設と定義されています。
設置者は都道府県等への届出が必要で、運営は厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」に基づく指導・監督を受けます。
– サービスの類型(通称3類型)
行政の通知・指針上、提供形態によって以下の3つに大別されます。
1) 介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護の指定を受け、施設が包括的に介護を提供)
2) 住宅型有料老人ホーム(生活支援が中心。
介護が必要な場合は外部の居宅サービスを個別に契約)
3) 健康型有料老人ホーム(自立高齢者向け。
介護が必要になると基本的には退去・住み替え)
このうち、求人や広告等で「在宅型」と呼ばれがちなのが2)の住宅型です。
つまり、「在宅型=住宅型」という理解が実務的には最も整合的です。
「在宅型(=住宅型)」と呼ぶ理由(介護保険上の取り扱い)
– 介護保険制度には大きく分けて「居宅(在宅)サービス」と「施設サービス」があります。
住宅型有料老人ホームの入居者が利用するのは前者の「居宅サービス」です。
具体例は訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、通所介護(デイ)、福祉用具レンタル等で、入居者はそれぞれの事業者と個別契約し、ケアプランは居宅介護支援事業所(外部のケアマネジャー)が作成します。
– 一方「介護付有料老人ホーム」は、介護保険上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、施設が介護を包括提供します。
ケアプランは施設のケアマネ(施設サービス計画)作成、介護職員の配置基準も法令で定められています。
– つまり、住宅型は保険上「在宅扱い」でサービスを選んで使うため、在宅系と呼ばれやすいのです。
建物はホーム(住まい)でも、保険の世界では「自宅にいる人」と同様の扱い、というのが本質です。
他形態との主な違い(制度・運営・料金・人員体制)
A. 介護付有料老人ホームとの違い
– 介護保険上の区分
介護付=施設サービス(特定施設入居者生活介護)。
住宅型=居宅サービス(在宅系)。
– 介護の提供主体
介護付=ホーム(設置者)が自ら提供。
住宅型=外部の訪問介護・訪問看護等を個別契約で利用(同一法人の併設事業所が入るケースも多いが、あくまで別契約)。
– ケアマネジメント
介護付=施設ケアマネが施設サービス計画を作成。
住宅型=外部の居宅ケアマネが居宅サービス計画を作成。
– 人員配置基準・夜間体制
介護付=介護職員配置31(要介護者3人に対し職員1人が目安)等の明確な基準、看護職の配置(種類による)、夜間も施設内介護職常駐が前提。
住宅型=法定の介護職配置基準はなく、生活支援・見守りの体制確保が中心。
多くは24時間スタッフ常駐だが、介護の実働は訪問介護で担保する(自治体の指導で見守り・緊急対応体制の確保を求められる)。
– 料金の構造
介護付=介護サービスは「施設サービス費」として包括請求(利用者は1~3割負担)+居住費・食費・管理費等。
住宅型=家賃・共益費・食費・生活支援費等をホームへ支払い、介護は使った分だけ外部事業者へ別途自己負担(1~3割)+保険給付分が事業者に支払われる。
– 生活の柔軟性
介護付=施設内サービスが中心で一体的。
住宅型=訪問系・通所系など組み合わせの自由度が高い反面、連携・調整の手間が増える。
B. 健康型有料老人ホームとの違い
– 健康型は自立者向けで、食事や見守り中心。
介護が必要になったら原則として退去や住み替えが必要。
住宅型は要介護の人も入居でき、外部の在宅サービスを組み合わせてそのまま暮らし続けられる点が異なります。
– 現状、健康型の新設は多くはなく、市場の主流は介護付と住宅型です。
C. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い
– サ高住は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく賃貸住宅の登録制度で、安否確認・生活相談が必置。
法律上は有料老人ホームではありません。
– ただし、サ高住でも食事提供や家事援助等を定額で包括的に提供する度合いが一定以上になると、老人福祉法上の「有料老人ホーム」に該当しうる(いわゆる「みなし有料」)。
この場合は有料老人ホームとして届出が必要になります。
– 介護の使い方は住宅型と同様、基本は居宅サービスの個別契約です。
広告上「在宅型」としてサ高住が並記されることもあるため、契約形態の確認が重要です。
「在宅型(住宅型)」で働く人の仕事内容の特徴
– 生活支援と見守りが中心
日中・夜間の安否確認、生活相談、館内巡回、食事・服薬の声かけ、緊急時対応、フロント業務(来訪対応・宅配受取)等。
– 外部事業者との連携・調整
訪問介護・訪問看護・通所介護・居宅ケアマネとの情報連携、スケジュール調整、記録の取りまとめ。
併設の訪問介護が入る場合も、契約・記録・情報管理は事業所単位で分かれるためコーディネート力が要ります。
– 個別ケアの実施は訪問介護員が担う
入浴介助・排泄介助・更衣・移動介助などは、訪問介護のサービス枠で各居室に訪問して提供。
ホーム職員が兼務するケースもありますが、業務上の区分と記録は分ける必要があります。
– 医療連携
往診医や訪問看護との連絡、急変時の救急対応・家族連絡、服薬管理のサポート等。
看護職常駐の有無はホームごとに異なるため、体制に応じて役割が変わります。
– 生活の質の向上
レクリエーションの企画運営、買い物同行、外出同行、地域資源とのつなぎ等。
居宅サービスの枠外にある「暮らしの支え」の部分が価値になります。
よくある誤解と確認ポイント
– 「在宅型だから介護が受けられない」は誤解
介護は受けられますが、あくまで在宅(居宅)サービスとして個別契約で使います。
包括的に「施設が全部やってくれる」介護付とは仕組みが違います。
– 同一法人の併設訪問介護=施設介護ではない
同じ建物や同じ会社のスタッフが来ても、法律上は別事業(居宅サービス)です。
料金、記録、責任区分が変わります。
– 料金は使い方で変動
住宅型は介護を使った分だけ費用が増減する可変型。
入居時に「生活支援費」に含まれる内容と、介護保険サービスで賄う内容の境界を確認することが重要です。
– 介護付か住宅型かで、ケアマネの所属先が違う
介護付では施設ケアマネ、住宅型では居宅ケアマネ(外部)です。
連絡・意思決定の窓口が異なります。
根拠・参照先(制度・公的資料)
– 老人福祉法(有料老人ホームの定義、設置者の届出等)
有料老人ホームは、入居者に対して有償で「食事の提供」「介護」「家事」「健康管理」のいずれかを提供する施設と定義され、届出・指導監督の対象。
条文はe-Gov法令検索(老人福祉法)で確認できます。
– 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
有料老人ホームの類型(介護付・住宅型・健康型)の考え方、人員・設備・運営の標準、広告表示等の留意点が示される通知・指針。
各都道府県もこれに基づく指導要綱を公開しています。
– 介護保険法(施設サービス/居宅サービスの区分)
介護保険制度における「居宅サービス」と「施設サービス」の定義、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームが該当)の位置づけは介護保険法および同法の施行規則・告示で定義。
厚生労働省「介護保険制度の概要」資料でも区分が整理されています。
– 特定施設入居者生活介護(介護付)の基準
人員配置(例 要介護者3人に対し介護職員1人を標準とする)、看護職員の配置、夜勤体制、サービス提供の範囲等は指定基準(省令・告示)で具体化。
– 居宅サービス(在宅系サービス)の一覧とケアマネジメント
訪問介護、訪問看護、通所介護、短期入所、福祉用具貸与等の定義と給付ルールは介護保険法・同施行規則・介護報酬告示で規定。
厚生労働省「居宅サービスの概要」等に整理資料があります。
– サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
高齢者の居住の安定確保に関する法律(いわゆる高齢者住まい法)に基づく登録制度で、安否確認・生活相談が必置。
運営の仕方によっては老人福祉法上の有料老人ホームに該当する場合があり(みなし有料)、都道府県への届出が必要になる旨が厚生労働省・国土交通省の通知で示されています。
まとめ
– 「在宅型有料老人ホーム」という言い方は、法令上の正式類型ではなく、介護保険の「在宅(居宅)サービス」を使って暮らす「住宅型有料老人ホーム」を指す実務上の呼称です。
– 介護付との最大の違いは、介護を「施設が包括提供するか」(介護付=施設サービス)「外部の在宅サービスを個別契約で使うか」(住宅型=在宅サービス)という制度の仕組みです。
これに伴い、ケアマネの所属、人員基準、料金の構造、夜間体制、業務分担が変わります。
– 現場の仕事は、住宅型では生活支援・見守り・緊急対応・多職種連携の調整が比重を占め、介護付では施設内での直接介護の提供と一体運営が中心になります。
– 似た概念としてサ高住がありますが、法律上は別制度。
提供内容や料金の設計次第では有料老人ホームの扱いになることがあるため、名称だけでなく契約・届出・サービス体系を確認することが重要です。
参考URL(公的情報の入口)
– e-Gov法令検索(老人福祉法) https://elaws.e-gov.go.jp
– e-Gov法令検索(介護保険法) https://elaws.e-gov.go.jp
– 厚生労働省 介護保険制度の概要ページ(居宅/施設サービスの区分解説あり) https://www.mhlw.go.jp
– 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営指導指針(各都道府県公表資料・通知へのリンクは都道府県サイト参照)
– サービス付き高齢者向け住宅(制度概要) https://www.satsuki-jutaku.go.jp などの公的ポータル
上記のとおり、「在宅型」は制度上の「在宅サービスを使う住宅型」という意味合いで用いられていると理解すると、他形態との違いがクリアになります。
用途や働き方のイメージを掴む際は、1) 介護の提供主体、2) ケアマネの所属、3) 人員配置・夜間体制、4) 料金の構造、の4点を押さえるのが実務的です。
介護職の1日の業務は早番・日勤・遅番・夜勤でどう変わるのか?
結論から言うと、在宅型有料老人ホーム(一般に「住宅型有料老人ホーム」と呼ばれることが多い)での介護職の1日は、早番・日勤・遅番・夜勤でピーク業務(起床・食事・就寝・夜間巡視など)が明確に分かれます。
さらに住宅型の特徴として、介護は原則「外部サービス(訪問介護・訪問看護等)」として個別契約に基づき提供されるため、ホーム職員としての生活支援業務と、訪問介護員としての個別サービス提供が同じ建物内で並行する点が、介護付(特定施設)と大きく異なります。
以下でシフトごとの具体的な業務像と、制度的な根拠を詳述します。
前提 在宅型(住宅型)有料老人ホームの基本
– ホームとして必ず提供するのは「安否確認」と「生活相談」。
食事提供や見守り、配膳・下膳、居室清掃、リネン交換などの生活支援を内包する場合が多い。
– 介護(身体介護・生活援助)や医療的ケアは、原則、外部の居宅サービス(訪問介護・訪問看護・通所・訪問リハなど)の契約と計画(ケアプラン・サービス提供票)に基づき実施。
– したがって同じスタッフでも、時間帯により「ホーム職員としての共通業務」と「訪問介護員として特定入居者へのサービス」を切り替えて動く運用が一般的。
早番(例 600~1500/700~1600)
– 申し送り 夜勤から夜間の状態(睡眠・排泄・体調変化・ナースコール履歴・事故インシデント)を受ける。
朝の受診・訪問スケジュール確認。
– 起床介助・モーニングケア 声かけ、離床介助、トイレ誘導またはパッド交換、洗面・整容、更衣。
嚥下状態の観察、義歯装着確認。
– 朝食対応 配膳・食事介助・見守り、服薬支援(誤薬防止のダブルチェック、残薬確認)、摂取量とむせ・咳込み等の記録。
血糖測定やインスリンは看護によるが、介護は準備・見守り連携。
– バイタル・観察 訪問看護の来訪がある日は連携して情報共有。
介護は全身状態の観察(食欲・便通・皮膚・疼痛訴えなど)を記録。
– 午前介助 排泄ケア、ポジショニング、離床促進、居室整頓・ベッドメイキング、洗濯対応。
入浴日であれば午前の入浴介助または訪問入浴の受け入れ・誘導。
– 受診・外出準備 病院同行の段取り(診察券・お薬手帳・紹介状・移送手配)。
車椅子固定やリスク管理。
– 訪問介護枠の提供 サービス提供票に沿って5~10分刻みで訪室、開始・終了の実績記録(電子記録端末が一般的)。
身体介護(清拭・排泄・更衣・整容など)、生活援助(居室内清掃・ゴミ出し・ベッド周り整理)を個別計画どおり実施。
– 書類・物品 おむつ在庫、衛生材料の補充、午前中のカンファレンス資料準備。
日勤(例 900~1800)
– 連絡調整 ケアマネ、訪問看護、訪問リハ、通所事業所、家族との連絡窓口。
受診結果の共有、看護指示の確認、緊急時連絡網の更新。
– レクリエーション・集団体操 口腔体操、嚥下体操、回想法、脳トレ、転倒予防体操など。
個別参加可否はその日の体調で判断。
– 昼食対応 配膳・食事介助・服薬支援。
嚥下食や禁食、アレルギー、飲水制限など食事箋の遵守。
食後の口腔ケア。
– 入浴・清拭(午後枠) 機械浴・個浴の介助、バイタルチェック、皮膚トラブルの早期発見と共有。
訪問入浴が入る日は受け入れ調整。
– 訪問介護枠の提供 午後の身体介護・生活援助、通所からの帰宅受け入れ、衣類整理、排泄ケア。
– 受診同行・薬局対応 処方変更の把握、残薬管理、配薬セットのダブルチェック体制への受け渡し。
誤薬対策のトレー管理・写真付き指示書の更新。
– カンファレンス・記録 アセスメント更新、ケアプランへの提案、リスクカンファ、インシデントレビュー。
新規入居・退居のアセスメント、契約書類・重要事項説明の補助。
– 環境整備・感染対策 清掃・消毒、物品補充、標準予防策の徹底、嘔吐物処理訓練、褥瘡予防ラウンド。
遅番(例 1200~2100)
– 午後のピーク対応 おやつ・水分摂取の促進、排泄ケア、歩行訓練の付き添い。
BPSD(夕暮れ症候群)のある方の見守り・気分転換。
– 夕食対応 配膳・食事介助・服薬支援。
食後の口腔ケア、就寝前薬の管理。
糖尿病や嚥下障害のある方の個別配慮。
– ナイトケア準備 更衣、足浴・清拭、体位調整、ポジショニング、見守りセンサー・離床センサーの作動確認。
コール端末・PHS・インカムの動作点検。
– 訪問介護枠の提供 夕方の身体介護(排泄・更衣)や生活援助(居室片付け、洗濯物回収)を個別計画に沿って。
– 翌日の準備 スケジュール確定、受診書類作成、物品・配薬カートの補充。
– 夜勤への申し送り 不穏・疼痛・発熱傾向、転倒ハイリスク者、看取り期の方の状態、ナースコール頻度、夜間巡視計画の要点。
夜勤(例 2100~翌700/16時間夜勤等、施設運用により異なる)
– 消灯~就寝介助 臥位への移乗、ブレーキ・柵・ナースコール手元の安全確認。
褥瘡ハイリスク者の体位変換計画に沿った2~3時間おきの変換。
– 巡視・安否確認 居室巡回、呼吸・睡眠状況、失禁の有無、徘徊リスク者の動き。
ナースコール対応、転倒・転落・誤嚥等の初動対応と記録。
– 排泄ケア 夜間のトイレ誘導、パッド・リハビリパンツ交換、皮膚観察。
便培養が必要な場合の手順遵守(指示書に従う)。
– 医療連携・緊急時対応 発熱・呼吸困難・胸痛等の際、夜間オンコール看護師や管理者、家族、主治医への連絡。
救急要請と同行、自治体への事故報告フローの起案。
– 早朝介助 起床介助、モーニングケア、朝食前の整容・排泄、配膳準備。
洗濯・リネン交換など静音作業。
– 記録と引継ぎ 夜間の観察記録、インシデント報告、配薬・コール・巡視ログの整備、早番への申し送り。
在宅型(住宅型)ならではの違い・注意点
– 個別契約の厳密性 訪問介護のサービス内容・時間はケアプランとサービス提供票で定まるため、同じ建物内でも「できること/できないこと(算定の可否)」の線引きを守る必要がある。
例 生活援助での大規模な居室外作業は不可、身体介護の連続算定要件の管理など。
– 記録の二重性を整理 ホーム運営上の記録(安否確認・事故報告・生活相談)と、訪問介護の法定記録(提供時間・内容・結果・署名)を混同せず、両方を適正に残す。
– 医療連携の明確化 服薬管理は看護主導で体制を組み、介護は服薬支援・観察・記録・残薬確認を担う。
与薬・配薬の誰が・いつ・どうチェックしたかのダブルチェック体制をマニュアル化。
– 夜間体制 住宅型には介護付(特定施設)のような厳格な配置基準はない一方、安否確認・緊急時対応の実効性は行政指導で重視される。
夜間一人体制の場合のバックアップ(オンコール、警備、救急動線)の整備が不可欠。
– 看取り・ACP 看取り期は訪問看護と主治医の指示に従い、夜間の苦痛緩和・体位・口腔ケア・家族連絡を計画的に。
アドバンス・ケア・プランニングの共有が重要。
根拠(制度・指針の要点)
– 住宅型有料老人ホームの位置づけ 老人福祉法に基づく「有料老人ホーム」で、厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」により、安否確認・生活相談等の提供、入居契約・運営体制・事故発生時の対応、虐待防止・苦情対応・記録整備が求められます。
住宅型は介護を包括提供する「特定施設入居者生活介護(いわゆる介護付)」とは異なり、介護は外部サービス利用方式が原則。
– 訪問介護の提供・記録義務 介護保険法および「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)」に、訪問介護の区分(身体介護・生活援助・通院等乗降介助)、提供方法、計画書、記録(提供内容・時間・結果・署名)の整備が規定されています。
住宅型での介護はこの基準に従います。
– 特定施設との対比(参考) 特定施設入居者生活介護の指定を受ける介護付有料老人ホーム等では、介護・看護職員の人員配置基準(一般に入居者3人に対し職員1人以上等)や夜間の体制が明確化されていますが、住宅型は同じ厳格基準の適用外。
代わりに各自治体の指導指針で夜間の安否確認・緊急時対応体制の実効性が求められます。
– 事故・ヒヤリハット報告 有料老人ホーム指導指針および各都道府県の要綱に基づき、重大事故は行政報告の対象。
施設内マニュアルとして初動対応・家族連絡・記録保存・再発防止策の策定が求められます。
現場運用のコツ(シフト横断)
– 申し送りの質が安全を左右 バイタル・食事摂取・排泄・行動変化・服薬変更・医師看護指示・家族要望を、時間軸で簡潔に共有。
PHSやICT記録の活用で取りこぼしを防ぐ。
– タイムマネジメント 在宅型は個別サービスの時間管理がシビア。
訪問介護の開始・終了の厳守、移動時間の見込み、突発対応とのバランスをチームで調整。
– 誤薬・転倒・窒息の三大リスク対策 配薬ダブルチェック、見守り強化時間帯(食事・トイレ・移乗)の明確化、嚥下スクリーニングと食形態の統一、環境整備(段差・手すり・滑り止め)。
– 外部職種との連携 訪問看護・リハ・通所・薬局・福祉用具の情報を一元管理。
看取りや高リスク事例はミニカンファを高頻度で。
まとめ
– 早番は「起床~朝食~午前介助」の立ち上がり、日勤は「連絡調整・レク・入浴・受診」の中核、遅番は「夕食~就寝準備・BPSD対応」、夜勤は「巡視・夜間介助・緊急対応・早朝立ち上がり」を担います。
– 在宅型(住宅型)では、ホームの生活支援と訪問介護の個別サービスが併走するため、計画と記録、線引き、連携の厳密さが求められます。
– 制度上の根拠は、老人福祉法と厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針、介護保険法と指定居宅サービスの省令基準にあり、これらが業務の枠組み・記録・安全管理の土台になっています。
実際の勤務時間帯や詳細業務は事業者の運営方針、入居者の要介護度、自治体の指導、併設事業(訪問看護・定期巡回・通所等)の有無によって変わるため、就職・転職時は「ホーム業務(生活支援)と訪問介護の割合」「夜間の人員配置」「医療連携体制(オンコール看護)」「記録システム」「事故対応フロー」を事前に確認すると安心です。
身体介護・生活支援・レクリエーション・記録業務は具体的に何をするのか?
前提の整理
一般に「在宅型有料老人ホーム」と呼ばれるものは、制度上は「住宅型有料老人ホーム」を指すことが多いです。
入居者は“住まい”として居住し、介護が必要な場合は外部の訪問介護(ホームヘルプ)や訪問看護、通所介護(デイ)、福祉用具など、介護保険の在宅サービスを個別に組み合わせて利用します。
ホーム職員は安否確認・生活相談・緊急時対応・食事提供・見守り・フロント業務などを担い、介護そのもの(身体介護や生活援助)の多くは外部の指定事業者が提供するのが基本です。
以下では、在宅型(住宅型)を前提に、身体介護・生活支援(生活援助)・レクリエーション・記録業務を、現場での実際と法令・通知等の根拠に触れながら詳しく説明します。
なお、介護付き有料(特定施設入居者生活介護)では、介護をホーム内スタッフが一体的に提供し、根拠法規の一部が異なりますが、行為の中身は大きくは変わりません。
身体介護で行うこと(具体例)
身体介護は、入居者の心身の状況に応じて直接的に日常生活動作(ADL)を支えるケアです。
訪問介護における「身体介護」に該当する典型例は以下です。
– 排泄介助 トイレ誘導、オムツ交換、陰部清拭、ポータブルトイレの管理、失禁時の衛生整え。
皮膚トラブルの観察と記録、必要時の看護師・医師への連絡。
– 入浴介助・清拭 全介助・部分介助、シャワー浴、足浴。
入浴前後のバイタル測定、ヒートショック予防(浴室の温度管理、入浴時間・順序の調整)。
– 食事介助 摂食の姿勢調整、嚥下状態の観察、刻み・ミキサー等の形態調整、摂取量の記録、誤嚥時の対応。
栄養面の課題はケアマネ・栄養士(配置がある場合)・主治医と連携。
– 更衣・整容・口腔ケア 着脱の支援、髭剃り、洗面、義歯清掃、ブラッシング、保湿。
誤嚥性肺炎予防の観点で食後の口腔ケアは重要。
– 体位交換・移乗・移動介助 ベッド上の体位変換、車椅子⇄ベッドの移乗、歩行見守り。
福祉用具(スライディングシート、リフト等)を適切に使用、拘縮・褥瘡予防に留意。
– 服薬支援 内服準備・見守り・内服確認(与薬の最終確認・判断は看護職が担う体制が望ましい)。
薬剤の残薬管理は記録と共有が必須。
– 見守り・自立支援的介護 転倒リスク評価に基づく見守り、できる動作はご本人に行っていただく促し(過介助の回避)。
– 通院介助・外出支援 受診への付き添い、乗降介助。
車椅子固定、段差対応、院内での安全確保と情報共有。
– 医療的ケアとの境界 介護職による医行為は不可。
喀痰吸引・経管栄養は法に基づく研修修了者と適切な手順・指示下でのみ実施可。
創傷処置や注射などは看護職・医療職の領域。
根拠の要点
– 訪問介護の身体介護の定義・範囲は「指定居宅サービスの人員、設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令)および「介護給付費算定基準」とその解釈通知で規定。
通院等乗降介助の取扱いも同様。
– 介護職の医行為禁止、喀痰吸引等の例外は「社会福祉士及び介護福祉士法」改正に基づく制度および厚労省通知。
– 感染対策・誤嚥予防等は厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」等に準拠。
生活支援(生活援助)で行うこと(具体例)
生活援助は、身の回りや家事等、日常生活を維持するための支援です。
在宅型ホームでは、訪問介護の生活援助として提供されるほか、ホーム独自の付帯サービスとして提供される場合もあります。
– 掃除・環境整備 居室・トイレ・洗面台の清掃、ゴミ出し、換気、ベッドメイキング。
衛生状態の観察(臭気、カビ、害虫の兆候など)。
– 洗濯・衣類管理 洗濯・乾燥・たたみ・収納。
衣類の破損・紛失防止のための記名・履歴管理。
– 調理・配下膳 嗜好・嚥下状態に合わせた簡易調理、配膳・下膳、食後の片付け。
食中毒予防の衛生管理。
– 買い物代行・薬の受け取り 必要品の購入、レシート・金銭の管理を透明化。
処方薬の受け取りは本人確認・数量確認を徹底。
– 生活手続きの支援 通院の同行、役所手続きの同行(判断能力や代理行為の可否に留意)、郵便物整理、カレンダーへの予定記入など。
– 見守り・安否確認 夜間巡回、コール対応、体調変化の初期対応と連絡体制の起動。
– 社会参加の支援 共用スペースへの誘導、食堂での交流促進、自治会活動の情報提供。
注意と線引き
– 訪問介護の生活援助は「利用者本人の日常生活に必要な範囲」に限定。
家族分の家事や過剰な家事は不可。
ホームの任意サービスとして行う場合も、契約と料金の明確化が必要。
– 生活援助中心の長時間サービスは介護保険の運用上、必要性の妥当性が求められる(ケアマネのアセスメント・ケアプラン根拠が必須)。
根拠の要点
– 訪問介護における「生活援助」の範囲は前述の運営基準・算定基準および解釈通知に具体例が示される。
– 在宅型有料の基本サービス(安否確認・生活相談等)は厚労省「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」や各自治体の指導指針、重要事項説明書で明確化される。
レクリエーションで行うこと(具体例と目的)
レクリエーションは法令で細目が固定されているわけではありませんが、心身機能の維持・活動と参加の促進・QOL向上を目的に実施されます。
住宅型ではホームの任意サービスとして、または外部サービス(通所介護等)で実施されます。
– 身体活動系 集団体操、関節可動域運動、棒体操、座位ヨガ、散歩。
転倒予防プログラム、フットケア体操。
– 認知・交流系 回想法(昔の写真・道具等を用いた会話)、脳トレ(計算・漢字・間違い探し)、歌唱、合唱、カラオケ、音楽療法。
– 作業・創作系 手工芸(折り紙、編み物)、塗り絵、書道、園芸、料理クラブ。
役割活動(配膳補助、掲示物づくり)で自己効力感を高める。
– 季節行事・外出 花見、初詣、誕生会、買い物ツアー、地域交流イベント。
感染状況や体力に応じた小グループ・個別外出。
– 個別化 目標設定(例 週2回の参加で移動距離を維持)、リスク評価(嚥下・転倒・感染)、参加後の評価・記録。
根拠の要点
– 有料老人ホーム設置運営標準指導指針は「入居者の心身の状況に応じた適切なサービス提供」「入居者相互の交流機会」等を求める。
特定施設(介護付き)では運営基準に「機能訓練」「栄養ケア」等の実施・計画化が規定。
– 介護保険の基本理念(自立支援・重度化防止)やICF(国際生活機能分類)に基づく「活動・参加」支援の重要性は厚労省の各種ガイドラインに示されている。
記録業務で行うこと(具体)
記録は安全・連携・説明責任の基盤です。
誰が、いつ、何を、どのように提供し、その結果どうなったか、を事実に基づき残します。
– 基礎情報の整備 契約書、重要事項説明、同意書、フェイスシート、既往歴・アレルギー、家族・主治医・ケアマネ連絡先。
– アセスメントと計画 ケアマネの居宅サービス計画(ケアプラン)に基づき、訪問介護のサービス提供責任者が個別の訪問介護計画書を作成。
目標・頻度・手順・緊急時対応を明記。
– 日々の実施記録 実施日時、介助内容(具体)、所要時間、観察事項(バイタル、食事摂取量、排泄状況、皮膚状態など)、インシデントの有無、本人の反応。
誰が実施したかを特定可能に。
– 医療・服薬・健康記録 与薬記録、バイタル記録、体重、褥瘡評価、発熱時の経過、受診結果。
看護・医療との連携欄。
– レクリエーション・機能訓練記録 参加の有無、内容、達成度、次回への課題。
– 事故・ヒヤリハット 発生状況、原因分析(ヒト・モノ・環境・手順)、再発防止策。
必要に応じて行政・家族・関係者へ報告。
– 申し送り・カンファレンス シフト間の申し送り記録、定期カンファレンス議事、モニタリング結果と計画の見直し。
– ICT活用 タブレットでの記録、写真記録(同意範囲内)、電子署名。
セキュリティとアクセス権限管理。
書き方の原則
– 事実と評価を分ける(例 「1300 37.8℃。
食事5割。
嚥下時むせ2回。
看護師に報告、1400再測37.5℃」)。
– 客観用語を用い、曖昧表現や価値判断を避ける。
– タイムリーに記録し、改ざん防止(訂正履歴の残る運用)。
保存・個人情報
– 記録の作成・保存は運営基準・各指導指針で義務化。
保存期間は原則2年以上が多いが、自治体の指導でより長期を求める場合あり。
事故記録は別途保管と再発防止への活用。
– 個人情報保護法に基づく目的外利用の禁止、第三者提供のルール、紛失・漏えい防止策を徹底。
秘密保持義務は従業者全員に及ぶ。
根拠の要点
– 指定居宅サービスの運営基準および介護給付費算定基準に、記録作成・保存やモニタリング・計画見直しが規定。
– 有料老人ホーム設置運営標準指導指針および各自治体の指導基準に、帳票類の備付け・事故報告・苦情対応記録の整備が求められる。
– 個人情報の保護に関する法律、高齢者虐待防止法(虐待の早期発見・通報体制と記録)等。
在宅型ホームで働く1日の流れ(例)
– 早朝 夜間の申し送り確認、安否巡回、起床介助、トイレ誘導、バイタル測定、朝食介助、口腔ケア、服薬確認、記録
– 午前 居室清掃・洗濯、入浴介助(外部ヘルパーが来訪する場合の受け入れ・連携)、受診同行、レクリエーション準備
– 昼 配下膳・食事介助、服薬、休憩・見守り、家族・ケアマネへの連絡
– 午後 レクリエーション・機能訓練、買い物代行、カンファレンス、計画見直し、記録整理
– 夕方〜夜 夕食介助、口腔ケア、就寝準備、巡回、コール対応、インシデント対応、夜勤への申し送り
介護付き(特定施設)との違いの補足
– 介護付きはホーム内スタッフが「特定施設入居者生活介護」として一体的に身体介護・生活支援・機能訓練等を提供。
人員配置基準(例 入居者3人に対して1人など)やサービス計画書・記録の要件がより厳格。
レクリエーションや機能訓練は運営基準で位置付けが明確。
– 住宅型(在宅型)は介護保険の在宅サービスを個別に組み合わせ、同一建物居住者への訪問介護には介護報酬上の減算等のルールがあるため、ケアの組み立てと連携が重要。
主な根拠・参考(概要)
– 介護保険法および関連政省令(指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準) 訪問介護の「身体介護」「生活援助」の範囲、記録・保存、モニタリング等
– 介護給付費算定基準(厚生労働省告示)・同解釈通知 算定要件、通院等乗降介助、生活援助の適用範囲等の具体
– 有料老人ホーム設置運営標準指導指針(厚生労働省通知)および各自治体の設置運営指導指針 安否確認・生活相談・緊急時対応、帳票備付け、事故報告、虐待防止、レクを含む生活サービスの基本
– 社会福祉士及び介護福祉士法(喀痰吸引等制度) 介護職が実施できる医療的ケアの範囲
– 個人情報の保護に関する法律 介護記録・写真・情報共有の法的枠組み
– 高齢者虐待防止法 通報体制、記録・報告の義務
– 厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」等のガイドライン 口腔ケア、感染予防、事故防止の実務
まとめ
在宅型有料老人ホームの仕事は、住まいとしての安心を土台に、外部の在宅サービス事業者と連携して個別性の高いケアを組み立てる点に特徴があります。
身体介護は安全・尊厳・自立支援の三本柱で、生活援助は必要十分かつ本人中心、レクリエーションは活動と参加の維持向上、記録は連携と説明責任の要。
これらはいずれも介護保険制度や有料老人ホームの指導指針、個人情報保護法等の枠組みの中で、具体的な手順・記録・評価を伴って行うことが求められます。
現場では法令に準拠しつつ、入居者の“暮らし”が最後までその人らしく続くよう、実践と振り返りを重ねることが重要です。
医療機関・ケアマネ・家族・訪問サービスとはどう連携するのか?
前提整理
・ここで言う「在宅型有料老人ホーム」は、一般に「住宅型有料老人ホーム」を指すケースが多いです。
介護や看護をホームが包括的に提供する「介護付き有料老人ホーム」と異なり、住宅型は入居者が在宅(居宅)サービスを個別に契約・利用する前提です。
ホーム自体は安否確認・生活相談・食事提供などの生活支援を中心に担い、介護・看護などは外部の訪問サービス(訪問介護・訪問看護・訪問診療等)と連携して実施します。
住宅型有料老人ホームの仕事の大枠
・入居前~入居時
情報収集(既往歴、ADL/IADL、認知機能、服薬、アレルギー、生活歴、家族構成、価値観、ACP=人生会議の意向)
リスクアセスメント(転倒窒息・誤嚥・褥瘡・感染・金銭管理など)
重要事項説明・契約(提供する生活支援の範囲、緊急時の対応、協力医療機関、苦情相談窓口、個人情報の取り扱い)
ケアマネ紹介/調整(未認定なら要介護認定申請の支援、担当ケアマネ決定)
・日常運営
安否確認、生活相談、生活支援(食事・清掃・洗濯などは契約により実施)
バイタル把握や体調変化の早期発見、外来受診・訪問診療・訪問看護へのつなぎ
介護・看護サービスの時間割調整、居室の入退室管理、感染対策、苦情対応
家族連絡、記録作成、サービス担当者会議への参加
・入退院・看取り期
退院時共同指導・退院前カンファレンス、在宅復帰調整
ACPに沿った看取り支援(訪問診療・訪問看護と連携)、死亡時の対応・家族支援
行政への事故・発生事象報告が必要な場合の手続き
医療機関との連携(病院、診療所、訪問診療、歯科、薬局)
・平時の連携
協力医療機関の確保と情報共有の同意取得
訪問診療の導入 主治医を定め、訪問診療計画と非常時の連絡体制(オンコール)を確認
訪問看護の導入 医師の訪問看護指示書に基づいて計画的に実施。
バイタルや状態変化の情報を双方向で共有
服薬管理 保険薬局の居宅療養管理指導を活用(一包化、残薬調整、薬学的評価)。
服薬カレンダーや配薬ボックスの運用
歯科・口腔 訪問歯科・歯科衛生士の口腔ケア、義歯調整、嚥下評価
・緊急時の連携
トリアージ→救急要請の判断→家族・主治医・ケアマネへの連絡
施設内初期対応手順書(気道異物、発熱、低血糖、転倒外傷、けいれん、胸痛・呼吸苦等)
救急搬送時の情報提供書(基礎疾患、服薬、アレルギー、意思表示、ADL、認知機能、感染症状況)
・入退院時の連携
退院前カンファレンスへの参加(必要物品、医療処置、訪問体制、食形態・水分制限)
在宅導入医療(在宅酸素、胃瘻、IVH、ストマ、導尿、褥瘡処置等)の手順書・物品整備
・看取り・ACP
事前指示(蘇生の希望、入院の可否、苦痛緩和の優先度)の文書化
訪問診療・訪問看護の24時間連絡体制、家族への説明計画、亡くなった後の連絡・死亡診断書手配
ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)との連携
・役割分担
ケアマネ アセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議主宰、モニタリング、給付管理
ホーム 生活支援・安否確認・日常観察情報の提供、サービス実施調整、リスク情報の報告
・具体的な連携プロセス
入居時情報共有 既往歴、退院要約、服薬、生活課題をケアマネに提供
サービス担当者会議 初回・変更時はホーム管理者/生活相談員/看護職/訪問系事業所が参加し目標・役割・連絡経路を明確化
モニタリング 月1回以上の評価結果を共有。
状態変化時(転倒、体重変動、摂食嚥下低下、夜間せん妄等)は臨時報告
計画の変更 介護量の増減、医療処置の新規導入、通所・リハの切替などはケアマネと協議し迅速にプラン改定
・留意点
住宅型は「外部サービス利用型」。
ホームの生活支援と、訪問介護等の公費サービスは契約・記録を区別し、二重請求や不適切請求を避ける
同一法人が訪問介護等を併設する場合も、個別契約・アセスメント・記録・勤務割の区分を徹底
家族との連携
・入居前後
重要事項説明 費用、提供サービスの範囲、医療連携、緊急時対応、苦情・事故時の連絡、面会ルール、貴重品管理、個人情報
緊急連絡体制 第一・第二連絡先、意思決定支援者(身元引受人、任意後見/成年後見等)
ACPの確認 延命治療の希望、入院の可否、看取り場所、宗教的配慮
・日常の情報共有
定期報告(体重、食事摂取、活動、出来事)、急変・事故時の即時連絡
通院付き添い・物品補充・金銭管理の役割分担
・意思決定支援・看取り
病状説明は医療側主体だが、ホームは同席して生活面の翻訳を行い家族の理解を支援
看取り期の面会調整、家族の宿泊可否、グリーフケアの案内
・運営懇談会・苦情対応
定期的な運営懇談会でサービス改善や要望を聴取
苦情窓口・第三者委員・行政相談窓口を周知
訪問サービス事業所との連携(訪問介護・看護・リハ・入浴・福祉用具・通所等)
・訪問介護(ヘルパー)
サ責(サービス提供責任者)と実施記録様式・申し送り方法を統一
サービスコードの適正化(生活援助中心型の回避、重複請求の防止)、自費サービスの線引き
感染対策・鍵管理・夜間帯の安全確保
・訪問看護
指示書に基づく処置スケジュール、緊急訪問の基準、オンコール連絡手順
バイタル・創部・栄養・排泄・服薬アドヒアランスの共有
・訪問リハ・通所リハ/通所介護
目標(歩行距離、移乗、安全な嚥下)をホームの生活場面に展開
送迎時の見守り、在宅内での環境設定(手すり、高さ調整)
・訪問入浴
医師の許可、入浴前後のバイタル確認、入浴日はホーム側の入浴提供を調整
・福祉用具・住宅改修
住空間に適合する用具選定(ベッド、マットレス、車いす、スライディングボード等)
シーティング評価や褥瘡予防で医療・リハと三者連携
・居宅療養管理指導(医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士)
栄養指導に基づく食形態・塩分水分管理を厨房と共有
薬剤レビュー結果による処方調整、残薬是正を主治医と連携
情報連携の実務(ツールとルール)
・文書類
個別支援計画(ホーム側)、居宅サービス計画(ケアマネ)、訪問看護計画・報告書、サービス実施記録、事故報告書、緊急連絡票
・共有の仕組み
連絡ノート(居室)、ICT介護記録ソフト、セキュアメール/ポータル
重要事項は電話で即時共有、後追いで記録化
・個人情報と同意
情報提供に関する包括同意と、機微情報の個別同意を取得
最小限必要な範囲で共有(目的限定・アクセス権管理)
よくある課題と解決のコツ
・「誰がやるか」の曖昧さ
初回カンファで役割責任表を作り、連絡先・時間帯・代替連絡先まで明示
・重複/漏れ
週間スケジュールを1枚化。
訪問予定・送迎・食事時間・服薬・水分量などを一覧
・急変時の迷い
事前指示(POLST相当)と緊急時プロトコルを整備。
夜間当直の判断フロー図を掲示
・記録の分断
互いの記録要点をテンプレ化。
「観察」「評価」「指示」「実施」「家族連絡」を揃える
・医療の過不足
定期ラウンド会議(主治医・訪問看護・ケアマネ・ホーム)で方針擦り合わせ。
減薬や目標設定を共同で
連携の法的・制度的根拠(代表例)
・介護保険法
ケアマネジメント(居宅介護支援)により、ケアマネがアセスメント・居宅サービス計画の作成・サービス担当者会議・モニタリング・給付管理を担うことが規定
訪問介護・訪問看護・訪問リハ等は指定居宅サービスとして位置づけ。
各サービスの人員・運営基準、記録・報告義務が政省令・告示で定められる
・老人福祉法および有料老人ホーム設置運営指導指針(厚生労働省通知)
有料老人ホームの定義、届出・指導監督、運営上の基準(入居契約、重要事項説明、運営懇談会、協力医療機関の確保・情報公表、事故発生時の対応・報告、苦情解決体制等)
住宅型(外部サービス利用型)の考え方が示され、介護保険サービスは外部の指定事業者と個別契約すること、自施設提供時も適正な区分管理が必要とされる
・訪問看護に関する根拠
訪問看護は医師の訪問看護指示書に基づき実施(医療/介護保険双方の枠組み)。
計画書・報告書の作成、主治医・ケアマネへの情報提供義務
・居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士が在宅で療養管理の助言・指導を行い、情報提供書でケアマネ・ホーム・他職種へ共有する仕組み
・個人情報保護法
多職種連携に必要な情報共有については利用目的の特定、同意取得、必要最小限の範囲での提供、適切な安全管理が求められる
・高齢者虐待防止法・事故報告関連通知
事故や重大な身体拘束等が発生した場合の市区町村・都道府県への報告、虐待の疑い時の通報義務、再発防止策の検討が求められる
現場での具体例(イメージ)
・例1 嚥下機能低下の疑い
ホーム職員がムセ増加を察知→訪問看護へ即時連絡→主治医に嚥下評価依頼→訪問歯科・ST紹介→食形態をミキサーからソフト食へ、姿勢調整と口腔ケア強化→ケアマネがプラン変更、家族へ説明
・例2 夜間の発熱
バイタル測定、脱水評価→オンコール主治医へ報告→解熱鎮痛薬内服と補液指示→翌朝訪問診療→感染対策の強化→家族連絡と経過説明
・例3 退院調整
退院前カンファで必要物品(在宅酸素・吸引器)確認→訪問看護・訪問介護スケジュール確定→ホームで避難経路やコンセント容量を点検→初週は多職種で密にモニタリング→1か月後カンファで負担軽減と再発予防策を見直し
まとめ(要点)
・住宅型有料老人ホームは「住まい+生活支援」。
介護・看護・医療は外部の在宅サービスを組み合わせ、ホームがハブとなって連携する
・医療機関とは訪問診療・訪問看護・薬局・歯科等と平時・急変時の二層で連携。
ACPと看取り体制が要
・ケアマネとはケアプランとモニタリングを軸に、役割分担と迅速な計画変更で生活と医療をつなぐ
・家族とは同意・意思決定支援・緊急連絡・苦情対応・運営懇談会を通じて透明性と納得感を高める
・訪問サービス事業所とは計画・記録・申し送り・スケジュール・感染対策を標準化し、重複や漏れを防ぐ
・根拠は介護保険法(居宅介護支援・指定居宅サービス)、老人福祉法と有料老人ホーム設置運営指導指針、訪問看護の指示書制度、居宅療養管理指導、個人情報保護法等に基づく
制度名や通知名は地域で細部が異なる場合があるため、実運用は自治体(都道府県・政令市)の指導要綱や指定基準、施設の運営規程に従ってください。
以上を押さえると、在宅型(住宅型)有料老人ホームにおける医療機関・ケアマネ・家族・訪問サービスとの連携の全体像と根拠を踏まえた実務が具体的にイメージできるはずです。
緊急時対応や看取りの体制はどうなっていて、どんな判断が求められるのか?
前提の整理
– ご質問の「在宅型有料老人ホーム」は、実務上は「住宅型有料老人ホーム」を指す場合が一般的です。
住宅型は入居者が居住し、生活支援や安否確認等は事業者が提供しつつ、介護や医療は原則として外部の訪問介護・訪問看護・訪問診療等を組み合わせて受ける仕組みです(介護保険・医療保険の外部サービス利用型)。
この構造が、緊急時対応や看取りの体制・判断にも大きく影響します。
- 平時の業務の全体像(ごく簡単に)
– 生活支援・安否確認(巡回、配膳、清掃、洗濯、見守り)
– 相談・連絡調整(家族、主治医、訪問看護、ケアマネ、薬局、地域包括)
– 服薬支援(与薬準備・内服確認・残薬管理:介護職が実施可能な範囲で)
– 緊急時一次対応(初期観察・通報・救急要請・家族連絡)
– 記録とリスクマネジメント(事故・ヒヤリ報告、再発防止)
– 夜間体制の維持(巡回、ナースコール対応、オンコール連携)
- 緊急時対応の体制はどうなっているか
住宅型は外部サービスを核にするため、「施設内で完結する医療」は想定せず、以下の連携体制を事前に整えます。
– 緊急連絡網
– 119番(救急)基準と通報手順
– 主治医(訪問診療)の24時間連絡体制または代診体制
– 訪問看護のオンコール(夜間・休日対応)
– 家族・身元引受人への連絡優先順位
– 医療・看護の協力体制
– 協力医療機関の確保(受診・入院の受け皿)
– AED、酸素、吸引器等の配置の有無(配置しても医療的使用は法令と研修要件に従う)
– 夜間人員・当直
– 夜勤者の人数、巡回頻度、緊急呼集の手段
– 鍵管理・救急車誘導・エレベータ運転切替などの館内対応
– マニュアル・訓練
– 急変時対応マニュアル(通報基準・手順)
– BLS(一次救命)・AED訓練、誤嚥窒息対応訓練、火災・地震の避難訓練
– 事前同意・情報の保管
– 事前指示(DNAR/心肺蘇生の可否)、治療方針の同意書、ACP記録
– かかりつけ医情報、服薬情報、基礎疾患、感染症情報
- 緊急時に求められる判断(典型)
判断は「観察→通報→初期対応→搬送要否→記録・連絡」の流れで、法令・主治医指示・施設マニュアルに沿って行います。
A. すぐに119番通報が推奨される目安(例)
– 意識障害(呼びかけに反応しない、けいれん)
– 呼吸困難、チアノーゼ、激しい喘鳴、重度の誤嚥・窒息
– 急性胸痛・圧迫感、冷汗、顔面蒼白(心筋梗塞疑い)
– 片麻痺・構音障害・顔面麻痺の突然の出現(脳卒中疑い)
– 大量出血、骨折疑いの転倒、頭部打撲後の意識変容
– 体温40度前後や38度超で悪寒戦慄、敗血症疑いの徴候
– 重度の脱水・低血糖疑いで経口摂取不可、ショック徴候
– DNARがあっても、蘇生・搬送を含む一般的救急対応の範囲は、本人・家族の事前合意内容と主治医指示に従う(例:蘇生はしないが苦痛緩和や酸素投与は行う等)
B. 主治医・訪看へまず相談する目安(例)
– 持病の急性増悪だが意識清明で安定、SpO2軽度低下、微熱・軽度の肺炎疑い
– 既に終末期で、ACPに「原則施設内で看取り」を明記している
– 転倒後の打撲・皮下出血で疼痛コントロールが主目的
C. 初期対応の基本(介護職・非医療職の範囲)
– 安全確保・観察(気道確保、体位、バイタル測定、糖尿病なら血糖測定の補助等)
– AEDの装着・使用(心停止が疑われる場合、BLSに従う)
– 窒息時の背部叩打法・腹部突き上げ法(可能な範囲で)
– 薬剤投与等の医行為は不可(ただし主治医指示や研修修了者による喀痰吸引・経管栄養等は例外)
D. 搬送の判断
– 事前の医療連携方針とACP(DNAR、入院希望有無、苦痛緩和中心等)に適合しているか
– 搬送で予後や苦痛軽減が見込めるか、入院のデメリット(認知症増悪、身体拘束リスクなど)
– 夜間帯の受入可否(協力医療機関の受入情報)
– 最終判断は原則として医師(主治医・救急)と家族の意思決定を得る。
介護職は判断材料を整え、迅速に連絡・記録・同意確認を行う
E. 記録・報告
– 事実経過(時間、症状、バイタル、対応、連絡先・指示内容)
– 重大事故該当時の行政報告(都道府県の指導指針に基づく)
– 再発防止策の検討(事故防止委員会等)
- 看取り(終末期)の体制はどうなっているか
住宅型での看取りは「外部の訪問診療・訪問看護」を中核に、施設は生活支援・環境整備・家族支援・連絡調整を担います。
体制要素
– ACPの実施と同意書
– 病状理解、希望する療養場所(施設内看取りか、症状時入院か)
– 蘇生措置・人工呼吸・輸液・経管栄養の可否、抗菌薬使用の方針
– 苦痛緩和(鎮痛・鎮静)の許容範囲、宗教・文化的配慮
– 医療・看護の配置
– 訪問診療の定期往診+臨時往診、施設総管(施設入居時等医学総合管理料)の活用
– 訪問看護の定期訪問+オンコール、ターミナル局面での訪看増回数
– 薬剤・物品
– オピオイド、レスキュードーズ、嘔気止め、抗不安薬、皮下注ポンプ等は医師・訪看が管理
– 圧痛予防具、清拭・口腔ケア用品、吸引器、酸素(必要時)
– 施設の役割
– 体位変換・口腔ケア・清潔保持・褥瘡予防・臥床環境調整
– 痛みや不安の観察と訪看・医師への迅速な共有(SBAR等)
– 家族の面会調整、付き添いスペースや宿泊の配慮
– 逝去後のエンゼルケア、葬祭業者連絡、遺品整理支援
– 死亡時の手順
– 医師の死亡診断(訪問診療医が原則対応)
– 異状死・外因死の疑いがある場合は警察通報(医師法・刑事訴訟法上の取扱い)
– 行政・関係機関への報告(施設種別・自治体要領に従う)
看取りで求められる判断
– 施設看取り継続か入院か
– 苦痛が施設連携でコントロール可能か、本人の希望、家族の受容
– 栄養・水分のあり方
– 誤嚥リスクが高い臨死期における経口摂取の是非(「むせても少量楽しむ」等のACP)
– 輸液はむくみ・呼吸苦を悪化させ得る。
利点・不利益を丁寧に説明し合意を得る
– 鎮静やオピオイドの使用
– 苦痛の評価(NRS等)と副作用(呼吸抑制、便秘)への対応
– 深い鎮静が必要な場合、医師の適切な指示と家族の同意を文書化
– DNARの運用
– 心肺停止時は蘇生をしないが、苦痛緩和や吸引・体位調整等は行う、等の具体化
– 倫理的配慮
– 本人意思の尊重(判断能力低下時は事前意思・家族代弁)
– 身体拘束の最小化・代替手段の徹底
– 宗教・文化的儀礼への配慮
- 根拠(法令・通知・制度の要点)
– 老人福祉法・有料老人ホームの設置運営標準指導指針(厚生労働省通知)
– 有料老人ホームには、入居者の安全確保、緊急時対応、協力医療機関との連携、事故・感染症発生時の報告、苦情対応、個人情報保護、職員研修等の整備が求められます。
各都道府県の指導指針・条例で具体が定められ、死亡・重大事故の報告様式や期限も規定されます。
– 介護保険法・介護給付関連
– 住宅型は介護保険サービスを外部から利用する前提。
看取り局面では訪問看護のターミナルケア加算、訪問診療の在宅患者訪問診療料・看取り加算、施設入居時等医学総合管理料(施設総管)等が適用されます(最新の診療報酬告示・点数表に準拠)。
– 医師法・刑事訴訟法
– 死亡診断書の交付は医師に限られます。
外因死・異状死の疑い(転倒頭部外傷後の死亡等)の場合は警察届出が必要。
– 消防法・建築基準法
– 自動火災報知設備・避難設備・スプリンクラー等の設置、避難訓練の実施が求められます。
緊急時の初動・避難誘導は消防計画に従います。
– 厚労省通知「医行為とそれ以外の行為の整理」および「喀痰吸引等研修」制度
– 介護職が実施できる医療的ケアは限定され、喀痰吸引・経管栄養は所定研修修了と業務実施体制の整備が必要。
注射・点滴の施行等は不可。
– 高齢者虐待防止法・個人情報保護法
– 身体拘束の最小化、インフォームド・コンセント、情報の適正管理が求められます。
- 実務に役立つ観察・通報のコツ(例)
– 観察はSBARで簡潔に
– S:状況(何が起きた/いつから)
– B:背景(基礎疾患、DNAR、最近の治療変更)
– A:評価(バイタル、意識、疼痛、SpO2、転倒有無)
– R:要請(救急要請の可否指示、臨時往診、処置指示)
– バイタルの閾値例(施設内ルール化)
– SpO2 ≤ 90%持続、収縮期血圧<90または>200、HR<40または>130、RR>30、体温>38.5+全身状態悪化等は即時上申
– 誤嚥・窒息
– 咳反射が弱くチアノーゼ傾向→119と同時に背部叩打法、意識消失でBLS
– 転倒時
– 頭部打撲・抗凝固薬内服・意識変容・嘔吐→原則救急搬送を検討
– 感染症
– 集団発生兆候(同フロアで嘔吐・下痢が複数)→感染対策強化と行政報告の準備
- 夜間・休日のリスク管理
– 夜勤1名体制の施設も多いため、通報基準を平時から明確化し、オンコール(管理者・看護師・協力医)の応答時間を合意
– 鍵・救急車導線・エレベータ搬送・酸素ボンベの在庫等の「物理的段取り」を定期点検
– 連絡不能リスクに備え、次善策(直ちに119、家族への同報連絡、翌朝主治医へ報告)をマニュアル化
- 逝去後の実務フロー(概要)
– 医師の死亡確認→死亡診断書交付→家族・葬祭業者への連絡調整
– エンゼルケア実施(宗教・家族希望を確認)
– 行政・関係者へ必要な報告(自治体様式)、ケアマネ・訪看・職員への周知
– 記録の整備(経過、同意、使用薬剤、家族説明、職員対応)
– 事後の振り返り(看取りカンファ、グリーフケア)
まとめ
– 住宅型有料老人ホームの緊急時対応・看取りは、「外部医療・看護との24時間連携」「事前のACP・同意」「職員の初期対応力」「記録・報告・再発防止」の4本柱で成り立ちます。
– 判断は、本人の意思・ACP、医学的緊急度、施設の提供能力と連携先の可用性を総合して行い、最終的な医療判断は医師に委ねるのが原則です。
– 根拠は、老人福祉法と厚労省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針、介護保険・診療報酬の制度、医師法・消防法・医行為の範囲に関する通知等に基づきます。
各都道府県の指導指針・報告様式も必ず参照してください。
最後に
– 施設ごとに人員・設備・連携先が異なるため、貴施設のマニュアル・主治医指示書・ACP様式を最新化し、年数回の訓練と事例検討を回すことが安全・安心な看取りと緊急時対応の鍵になります。
【要約】
「在宅型有料老人ホーム」は法的名称でなく、実務上は「住宅型」を指す。介護保険では居宅サービスを個別契約で利用し、介護付(特定施設)の包括提供と対照。住宅型は外部ケアマネ・訪問系中心で配置基準は緩く、費用は家賃等+使った分を別払い。健康型は自立者向けで介護が必要になると住み替えが基本。