コラム

未経験でも安心!介護職デビュー完全ガイド—職場選び・資格・面接対策・健康管理まで

未経験でも介護職を安心して始められる理由は何か?

未経験でも介護職を安心して始められる理由は何か?
という問いに対して、現場の実態・制度・教育の仕組みという3つの柱から整理すると、次のような根拠ある安心材料がそろっています。

加えて、実際にスタートする際の具体的な見極めポイントや準備のコツも併せてお伝えします。

初学者向けの体系的な基礎研修が整備されている(制度上の安心)

– 介護職員初任者研修(130時間)は、未経験者がゼロから学ぶ標準カリキュラムとして全国に普及しています。

身体介護(移乗・食事・排泄・入浴介助など)の基本、安全なボディメカニクス、コミュニケーション、認知症の理解、感染対策、記録の書き方まで、現場で最初に必要な知識・技術を網羅しています。

通学・通信併用や夜間・週末コースもあり、働きながら受講できる柔軟性も整っています(厚生労働省がカリキュラムの枠組みを定めています)。

– 実務者研修(450時間)や介護福祉士といった上位資格へ段階的に進める「学びのはしご」が制度化されており、未経験からでも計画的にスキルアップできます。

事業所が受講料を補助する制度や自治体の助成も多く、金銭面の不安が軽減されます。

– 訪問介護ではサービス提供責任者、施設系ではリーダー・主任などが業務の標準化(マニュアル整備や手順書)を担う体制が一般的で、未経験者でも手順に沿って学びやすい土壌があります。

現場でのOJTとメンター制度が定着している(教育・職場の安心)

– 多くの事業所がプリセプター(担当指導者)やバディ制度を採用し、入職初期は先輩が付き添って現場を回るのが一般的です。

1〜3カ月程度の「見習い期間」で、勤務ごとに目標・振り返り・フィードバックを行うサイクルが確立しています。

– 「技術は段階的に任せる」が基本原則です。

最初は観察と生活支援(配膳・環境整備・物品補充・記録補助)から入り、次第に移乗介助、排泄介助、入浴介助などへと広げていきます。

いきなり難度の高い業務を単独で任されることは避けられる仕組みです。

– 事故防止・感染対策・緊急時対応の教育は入職時研修で必ずカバーされ、ヒヤリハットの共有や事故報告のルールも整っています。

多くの事業所で年数回のテーマ別研修(認知症ケア、拘縮予防、口腔ケア、虐待防止など)が実施され、学び直しの機会が確保されています。

処遇改善加算などの制度要件が、研修計画・キャリアパス整備を後押ししている点も根拠です。

チームケアと役割分担が明確で、未経験でも守られる(業務設計の安心)

– 介護保険制度の下、利用者ごとにケアマネジャーがケアプランを作成し、それに基づいて事業所は具体的な介護計画書・手順を作成します。

現場スタッフは計画に沿ってケアを実施・記録・報告するため、未経験でも何を、どの手順で、どの観点に注意して行うかが明確です。

– 医療行為は看護職が担い、介護職は生活支援・身体介護・見守り・記録が中心です。

境界が明確なため、「してはいけない行為」「迷ったら看護・上長にエスカレーション」という安全網が機能します。

– 法令に基づく人員配置基準があり、過度なワンオペを防ぐ枠組みが設けられています。

夜勤でも複数人体制やオンコールの仕組みが整っている施設が多く、単独判断を迫られにくい環境が一般的です。

身体的負担を軽減する技術と機器が普及している(安全・健康面の安心)

– 初任者研修で学ぶボディメカニクス(体の使い方)や福祉用具(スライディングシート、移乗ボード、スタンディングリフト、ベッドの背上げ機能など)を活用することで、腰痛リスクは大きく軽減できます。

独力で持ち上げるやり方は避け、二人介助やリフト使用が標準です。

– 見守りセンサー、離床アラーム、介護記録のICT化(タブレット入力)、排泄予測センサーなどのテクノロジーが現場に広がり、転倒・徘徊のリスク低減、記録負担の軽減、夜勤の安心感向上につながっています。

国の「介護ロボット導入支援」等の補助事業も普及を後押ししています。

– COVID-19を経て標準予防策やPPEの使用が一段と徹底され、感染対策の教育・物品整備は以前より充実しています。

入口が広く、段階的に責任を高められる(就業機会の安心)

– 介護補助・生活支援(清掃・洗濯・配茶・配膳・リネン交換)など、身体介護に入る前段のポジションが多く、無資格・未経験でも始めやすい役割があります。

職場に慣れつつ、資格取得とともにステップアップできます。

– デイサービス(通所介護)やサ高住、グループホーム、小規模多機能、特養、有料老人ホーム、訪問介護など多様なフィールドがあり、日勤中心の職場や夜勤少なめの職場など、生活リズムや体力に合わせて選べます。

合わなければ同業他社・別形態への転籍もしやすいのが介護分野の特徴です。

– 人材需要が高く、全国どこでも求人が見つかるため、転居やライフイベント後の再就職もしやすい点が心理的な安心につながります。

需要の高さが、企業側の教育投資や定着支援(奨学金、資格取得支援、祝金、メンタルサポート等)を促しています。

ソフトスキルがそのまま活きる(未経験スキルの安心)

– 接客・販売・保育・事務など他業種で培ったコミュニケーション、観察力、段取り、クレーム対応、チームでの連携は介護現場で強く求められます。

特に「傾聴」「相手のペースに合わせる」「報連相」「記録の丁寧さ」は即戦力です。

– 介護は「正解通りに手を動かす」だけでなく、「その人らしさ」を支える対人支援。

その意味で、未経験でも人に向き合う姿勢や社会人基礎力が大きな価値を持ちます。

キャリアパスと賃金改善の見通しが持てる(将来像の安心)

– 初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士 → 介護支援専門員(ケアマネ)へと、経験と学習に応じたキャリアの道筋が明確です。

役職(リーダー・主任・管理者)や専門領域(認知症ケア、口腔ケア、福祉用具、リハビリ補助、看取りケア)への展開も可能。

– 国の処遇改善加算等により、資格取得や役割拡大が賃金に結びつきやすい構造が進んでいます。

将来像が描けることは、未経験者にとって不安を和らげる重要な要素です。

法制度と監査が最低限の質を担保(社会的な安心)

– 介護保険法・各種基準に基づく指導監査、第三者評価、事故・虐待防止の指針などが整備され、事業所運営の最低ラインが規定されています。

ケアプランに基づくサービス提供、記録の保存、苦情受付体制など、透明性を高める仕組みが機能しています。

– 外国人材の受け入れ(特定技能・EPAなど)でも、研修と評価の枠組みが整えられ「未経験者でも教育により現場適応できる」ことが制度として再確認されています。

これは日本人の未経験入職にも同様に適用しうるエビデンスです。

安心して始めるための見極めポイント(現実的な根拠に基づくチェックリスト)
– 面接・見学で確認したいこと
– 入職時研修の内容と期間、OJTの流れ(いつまでに何ができれば合格かの到達目標)
– プリセプターや相談窓口の有無、夜勤に入る前の同乗回数の基準
– マニュアル・記録様式の整備状況、ヒヤリハット共有のやり方
– 福祉用具・リフトの有無、二人介助の基準、腰痛対策の具体策
– 残業時間や休憩取得の実態、シフトの柔軟性、休みの取りやすさ
– 資格取得支援の制度(費用補助・勤務扱い・合格率)
– 入職前にやっておくと安心な準備
– 初任者研修の受講(最低限の用語と介助手順の理解)
– 体幹トレーニング・ストレッチ(腰部負担軽減のための基礎体力づくり)
– 認知症の基礎知識(周辺症状への関わり方、否定しないコミュニケーション)
– 感染対策と手指衛生の手順、スタンダードプリコーションの復習
– 記録の基本(事実と評価の分離、5W1H、主観語の回避、肯定的表現)

未経験者がつまずきやすい不安と、その根拠に基づく対処
– 失敗が怖い → 手順書とダブルチェック、報連相の徹底でリスクを最小化。

初期は必ず先輩が確認する運用が一般的。

– 体力が心配 → ボディメカニクスと福祉用具の活用、二人介助の基準を守る。

腰痛は「持ち方の問題」であることが多く、正しい技術で大きく予防できる。

– 事故時の責任が不安 → 事業所の賠償保険や事故対応マニュアルが整備されているのが通常。

個人責任にせず、組織で再発防止に取り組む文化かどうかを見学時に確認。

– 対人関係が不安 → シフト交代時の情報共有の仕組み(申し送り・カンファレンス)が整備されていれば衝突は減る。

価値観のすり合わせは会議体で行うのが通例。

「安心できる理由」の総括と根拠
– 制度面 初任者研修・実務者研修などの全国標準カリキュラム、ケアマネによるケアプラン作成、法令に基づく人員配置や運営基準、事故・虐待防止の指針。

これらは厚生労働省および介護保険法体系に根拠があります。

– 職場慣行 OJT・プリセプター・年次研修・マニュアル運用・ヒヤリハット共有・エスカレーションルール。

処遇改善加算のキャリアパス要件や第三者評価の普及が、職場での教育・標準化を後押ししています。

– 技術・機器 福祉用具・介護ロボット・見守りICT・標準予防策の普及。

国の補助事業やガイドライン、コロナ禍での教育強化が普及の背景にあります。

– 労働市場 高齢化に伴う恒常的な需要、資格取得支援や奨学金等の就労支援。

求人数の多さが教育投資と選択肢の広さを生み、心理的安全につながっています。

最後に
介護は「人の生活を支える」実践知の積み重ねで専門性が高まる仕事です。

未経験で不安があるのは当然ですが、制度化された基礎研修、現場のOJT、チームでの役割分担、テクノロジーの支援、豊富な就業機会という複数の安全網が用意されています。

見学で教育体制と安全文化を確認し、無理のないステップで資格と経験を積めば、未経験からでも安心して、そして着実に成長していくことができます。

介護の職場の種類と仕事内容の違いをどう見極めればいい?

未経験から介護職を安心して始めるには、「どんな職場で、どんな人を、どんな目的で支えるのか」を先に整理しておくと、ミスマッチを大きく減らせます。

介護の現場は“介護保険上のサービス類型”ごとに、対象者の状態、求められる仕事、シフト・夜勤の有無、医療との連携度合いがはっきり違います。

以下では、主な職場の種類と仕事内容の違い、未経験者が見極めるポイント、見学・面接での具体的チェック項目、スタートに向けた準備、そして根拠となる制度・資料をまとめて解説します。

主な職場の種類と「目的・対象・働き方」の違い(未経験者向けの観点つき)

– 特別養護老人ホーム(特養 介護老人福祉施設)
– 目的・対象 要介護3以上の方が中心。

長期入所が基本。

「暮らしの場」としての支援と看取り(終末期ケア)も多い。

– 仕事内容 食事・排泄・入浴などの身体介護、生活支援、レクリエーション、記録、家族対応、看取りケア。

医療行為は看護が担当。

– 働き方 シフト制・夜勤あり。

ユニット型(10人前後の小単位)だと家庭的ケアがしやすい。

– 未経験の見どころ 介護スキルは幅広く身につく反面、夜勤・重度ケア・看取りの心理的負担がある。

教育体制が整った法人か要確認。

– 介護老人保健施設(老健)
– 目的・対象 在宅復帰・在宅療養支援が目的。

入院後や状態悪化後の“中間施設”。

リハビリの比重が高い。

– 仕事内容 身体介護に加え、理学療法士・作業療法士等のリハビリ支援の補助、在宅復帰に向けた自立支援。

医師・看護との連携が密。

– 働き方 シフト制・夜勤あり。

医療連携が強く、記録・カンファレンスも多い。

– 未経験の見どころ 医療・リハとの協働を学びやすい。

医学的管理が必要な方も多く、感染対策・急変対応の基本を身につけられる。

– 介護医療院
– 目的・対象 医療と長期療養の必要性が高い高齢者。

生活の場+医療の密度が高い。

– 仕事内容 身体介護のほか、医療的ケアが日常的。

看護職の比重が高いが介護職も密接にケア。

– 働き方 夜勤あり。

医療機関連携・感染対策がより厳格。

– 未経験の見どころ 医療的ニーズが高く、初学者にはハードルが高め。

教育・同行体制の厚い所を選ぶ前提なら可。

– 有料老人ホーム(介護付/住宅型/健康型)
– 介護付(特定施設) 施設内で介護サービス提供。

手厚い人員配置の所も。

食事・排泄・入浴などに加え、レクや見守り。

– 住宅型 介護は外部(訪問介護等)を組み合わせ。

日中の見守り・生活支援中心、夜勤の有無は事業所次第。

– 健康型 自立向け。

介護が必要になると外部利用や住み替えが前提。

– 未経験の見どころ 日常生活支援が中心で馴染みやすい所が多い一方、定員規模や企業方針によって業務設計が大きく違う。

見学必須。

– グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
– 目的・対象 認知症の方が少人数(1ユニット9人以下)で共同生活。

家庭的な役割(調理・掃除)を一緒に行う。

– 仕事内容 家事支援と見守り、認知症ケア、入浴・排泄などの身体介護。

夜間一人勤務の時間帯がある場合も。

– 働き方 小規模・夜勤あり(1〜2人体制が多い)。

– 未経験の見どころ 認知症ケアを深く学べるが、一人勤務や急変時対応の心理的負担がある。

支援・教育体制の手厚さがカギ。

– サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
– 目的・対象 安否確認・生活相談が基本。

介護は原則外部サービス(併設の訪問介護等が入るケースが多い)。

– 仕事内容 見守り・安否確認、生活相談、状況に応じた外部サービス連携。

介護職としては訪問介護部門と兼務することも。

– 働き方 日勤中心〜夜勤ありまで運営次第。

入居者の要介護度は施設により幅広い。

– 未経験の見どころ 比較的自立〜軽度の方が多い物件は入りやすい。

実態は物件差が大きく、現地確認必須。

– 小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能(看多機)
– 目的・対象 「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせ、在宅生活を支える。

看多機は医療ニーズに対応。

– 仕事内容 柔軟なスケジュールで通いの送迎・食事・入浴、訪問での生活援助・身体介護、泊まりの夜勤対応など。

– 働き方 変動が大きく、運転業務が多い。

夜勤あり(泊まり対応)。

– 未経験の見どころ 地域密着・関係性の深い支援が魅力。

機動力と総合力が求められるため、同行・教育が厚い所がおすすめ。

– デイサービス(通所介護)
– 目的・対象 日中に通所し入浴・食事・機能訓練・レクリエーションを提供。

家族のレスパイト(休息)も目的。

– 仕事内容 送迎、入浴・排泄介助、レク企画・実施、バイタルチェック補助、記録。

機械浴や歩行訓練の補助も。

– 働き方 原則日勤のみ。

土日休みの事業所もある。

– 未経験の見どころ 生活支援中心で学びやすいが、送迎運転・入浴介助の体力負担はある。

レク企画が好きな人に向く。

– デイケア(通所リハビリテーション)
– 目的・対象 リハビリ専門職が在籍し、機能訓練が主。

医療法人併設が多い。

– 仕事内容 送迎、リハビリ補助、ADL訓練支援、入浴・排泄介助、記録。

– 未経験の見どころ リハの考え方を学べる。

医療的連携が強く、評価・記録の質も重視。

– 訪問介護(ホームヘルプ)
– 目的・対象 利用者宅を訪問し、身体介護や生活援助を提供。

– 仕事内容 排泄・入浴介助、移乗、服薬見守り、調理・掃除・買い物、通院介助、記録。

基本は一人で訪問。

– 働き方 直行直帰可、時間の融通が利く一方、自己管理力が必要。

移動時間・天候の影響も。

– 未経験の見どころ 同行期間が十分な事業所なら良い入口。

コミュニケーション力と観察力が磨かれる。

未経験者が「合う職場」を見極める9つの観点

– 勤務時間・夜勤の可否 生活リズム・家庭事情に合わせる。

夜勤が難しければデイや多くの外来型から検討。

– 身体的負担の許容度 入浴・移乗の比率、機械浴・リフト導入状況、入浴介助の人数体制は要チェック。

– 医療的ケア・看取りへの抵抗感 特養・介護医療院・老健は看取りや医療連携が多め。

最初は少なめの環境から始めるのも選択肢。

– 認知症ケアへの適性 グループホームや特養は認知症ケアが中核。

非薬物療法・BPSD対応を学ぶ意欲があるか。

– 運転業務の有無 デイ・小規模多機能・訪問は運転必須が多い。

運転に不安があれば回避または添乗のみ可か確認。

– チーム規模と一人勤務の有無 小規模は裁量大・一人勤務あり。

大規模は役割が分かれ学びやすいが人間関係の幅も広い。

– 教育体制・OJTの厚み 研修プログラム、メンター制度、チェックリスト、夜勤前の同行回数、資格支援の有無。

– ICT・介護ロボットの導入 記録の電子化、インカム、見守りセンサー、移乗リフトは業務負担と安全性に直結。

– 安全文化・法令遵守 身体拘束最小化、虐待防止・感染対策・BCP(事業継続計画)の運用状況。

有事の手順が整っているか。

応募前にできる情報収集(求人票の読み方含む)

– 介護サービス情報公表制度の活用 各事業所の人員体制、加算状況、苦情対応等を公的に確認できる。

– 法人種別の傾向 社会福祉法人は福利厚生や退職金が手厚い傾向。

医療法人は医療連携が強い。

株式会社は評価制度が明確な場合が多い。

個別差は大きいので最終は現地確認。

– 求人票のチェック
– 月給内訳(基本給・手当)、固定残業(みなし)の有無、夜勤手当の金額と想定回数、賞与実績(何カ月)、昇給・退職金制度、試用期間中の条件。

– 処遇改善加算・ベースアップ加算の還元方法(手当・一時金・ベースアップのどれか)。

– 休日数・シフトの固定/変動、有給取得率、残業時間の目安、年末年始・お盆の手当。

– 通勤手段(車通勤可・駐車場・ガソリン代)、送迎手当や入浴手当の有無。

– 外部の情報
– 行政の指導監査結果・指定情報の公表、自治体の介護事業者リスト。

– 口コミは参考程度に。

最新かつ複数ソースで相互確認。

見学・面接の具体的チェックリスト(その場で見極め)

– 現場の空気感
– 職員・利用者の表情と挨拶。

声かけの言葉遣い。

ナースコールやアラーム音が鳴りっぱなしでないか。

– 匂い・清掃状態(トイレ・浴室・共用部・居室)。

私物や掲示物の整頓。

– 人員・業務設計
– フロアの職員人数と入居者数、夜勤の人数体制。

入浴介助の1人あたり件数と時間配分。

– 看護配置と連携、夜間のオンコール体制。

急変時の手順書。

– 送迎運転の必須/任意、添乗体制、運転研修の有無。

– 教育・安全
– 新人研修カリキュラム、OJTの期間、夜勤独り立ちの基準。

メンターの有無。

– 感染対策(標準予防策、嘔吐物処理キット、PPE備蓄)、BCPの周知、事故・インシデント共有の仕組み。

– 身体拘束・抑制の考え方(最小化の徹底)、虐待防止研修。

– 働きやすさ
– 休憩が実際に取れているか、残業の付け方、シフトの希望反映、子育て・介護の両立制度。

– 資格取得支援(初任者・実務者・介護福祉士・喀痰吸引等研修)の費用補助や勤務配慮。

– ICT・設備
– 介護記録(紙/電子/音声入力)、見守りセンサー、眠り計、移乗リフト・スライディングシートの有無と活用度。

– 浴室(個浴/機械浴)、口腔ケアの備品、排泄ケア用品の充足。

– 面接での逆質問例
– 夜勤前の同行回数とチェック項目は?
離職率とその理由分析は?
有給取得率と希望休の上限は?

– 1人あたりの入浴介助件数は?
感染症流行期の応援体制は?
虐待通報の経路は?

– 処遇改善加算の分配方法は?
資格手当の金額は?
記録時間の確保方法は?

早く慣れるための準備(入職前〜初期)

– 資格・研修
– 介護職員初任者研修 未経験の登竜門。

用語・基礎技術・倫理・記録の基本が学べる。

– 実務者研修 将来介護福祉士を目指すなら早めに。

喀痰吸引等研修の一部を含むことも。

– 喀痰吸引等研修 医療的ケア(たん吸引・経管栄養)の業務範囲を広げられる。

現場でのニーズは高い。

– 予習テーマ
– 移乗・ポジショニング・褥瘡予防、感染対策(標準予防策・手指衛生)、認知症ケアの基本、口腔ケア、排泄ケア、記録の書き方(事実・客観・時系列)。

– 体づくり・道具
– 腰痛予防(膝を使う身体使い・コルセット・滑りやすい靴厳禁)、手指ケア(手荒れ対策)、時計・小型ライト・メモ帳などの携行。

– 働き方のコツ
– 焦らず「安全・尊厳・説明・記録」を最優先。

できない介助は一人で抱えない。

わからないことは必ず確認。

– 小さな成功体験(丁寧な口腔ケア・快適な更衣・安全な移乗)を積み重ねる。

最初の職場選びのヒント(タイプ別)

– 日勤から慣れたい デイサービス/デイケア/日勤中心の有料老人ホーム。

– 医療・リハも学びたい 老健/デイケア(通所リハ)。

– 認知症ケアを深めたい グループホーム/特養(ユニット型)。

– 将来の在宅支援に強くなりたい 小規模多機能/訪問介護(同行の厚い事業所)。

– 幅広く基礎力をつけたい 特養(教育体制の厚い法人)/老健。

根拠(制度・公的情報に基づく要点)

– 介護保険制度の類型定義
– 特養(介護老人福祉施設)、老健(介護老人保健施設)、介護医療院、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、通所介護(デイ)、通所リハ(デイケア)、訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)等の目的・人員配置・設備基準は、介護保険法および省令・告示(厚生労働省)に規定されています。

老健は「在宅復帰・在宅療養支援」が明確な目的、特養は長期的な生活の場、介護医療院は長期療養と生活機能の維持を目的として2018年創設。

– 夜勤や看護配置の一般傾向
– 入所系(特養・老健・介護医療院・有料)の多くは夜勤体制があります。

特養は医師は嘱託医が一般的で看護職は日中常駐・夜間オンコールが主流、老健は医師常勤配置と看護職の24時間体制に近い運用(夜間の看護配置を含む)が求められます。

介護医療院はより医療的ケアの提供体制が厚く、看護配置も手厚い指定基準です。

– グループホームの小規模性
– 1ユニット9人以下、家庭的な環境での共同生活という枠組みは制度上の基準によるものです。

– サ高住の位置づけ
– 高齢者住まい法に基づく登録制度で、安否確認・生活相談の提供が必須。

介護は外部サービスの活用が基本(併設・一体運用のケースあり)。

– 訪問介護の業務範囲
– 身体介護と生活援助の区分、生活援助の範囲等は厚労省通知により整理されています。

医療行為は原則不可(喀痰吸引等研修修了者が一定の手順で実施可能な範囲を除く)。

– 介護現場の義務・安全管理
– 身体拘束の適正化、虐待防止、感染対策(委員会・指針・研修)、BCP(事業継続計画)の策定・訓練は介護報酬改定等により義務化・要件化。

科学的介護(LIFE)への取り組みも推進されています。

– 公的情報源例
– 厚生労働省「介護保険制度の概要」「各サービスの指定基準」「介護保険最新情報」等(mhlw.go.jp)。

– 介護サービス情報公表システム(各事業所の情報閲覧)。

– 高齢者の居住安定確保に関する法律(サ高住)関連資料(国交省・厚労省)。

– 職場の腰痛予防対策指針(厚労省・労働安全衛生)。

最後に
「どこが楽か」ではなく「どの目的の場で、どのような力を伸ばしたいか」で選ぶと、成長と満足度が上がります。

未経験なら、まずは見学で“人と場の相性”を確かめ、教育体制と安全文化がしっかりした事業所を選ぶこと。

求人票と現場の実態のズレは必ず生じるため、複数事業所を見比べ、可能なら短期体験や派遣で“仮乗り”してから本採用に進むのも賢い方法です。

自分の暮らしと心身のコンディションを守れる環境を選び、焦らず着実にステップアップしてください。

【要約】
未経験でも介護職を始めやすい理由は、初任者・実務者研修など制度化された学びと助成、OJTやメンター等の現場支援、ケアプランに基づく明確な役割分担と配置基準、用具・ICT活用での負担軽減、清掃等の補助からデイサービス・サ高住まで段階的に働ける就業機会があるため。医療行為は看護が担い、迷えば上長へ相談できる安全網や事故・感染対策の研修も整備。入職初期は先輩が同行し段階的に技術を任される。